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春日若宮おん祭お渡り式を見て

 「春日若宮おん祭」は、長承4年(1135)の若宮御遷座を承け、翌保延2年(1136)に始まったとされている。その後は祭日が変更されることはあっても絶えず現代まで続けられ、今回見学に行った2016年12月17日で881回を迎えた、伝統ある奈良の祭である。

 おん祭では若宮神が一日だけ御旅所に遷座されるが、その御旅所に風流行列が詣でる「お渡り式」が有名だ。

 17日深夜の「遷幸の儀・暁祭」の後、17日正午より行われる「お渡り式」では芸能者や祭礼の参加者、巫女さんやお稚児さんが馬に乗って行列を成し、御旅所の一之鳥居まで詣でに行く。この行列は平安時代以降、その時々の風俗や流行を取り入れながら続けてこられたため、行列の人々は様々な時代の衣装をまとっている。

 今回、私は初めておん祭のお渡り式を見て来た。近鉄奈良駅の前から出店を回りつつ行列を眺めたあとは、一之鳥居まで先回りして行列を始めから終わりまで見てみた。なによりも私が関心を寄せたのは、様々な人種の人々が行列に参加していたことである。

f:id:UbuHanabusa:20170110212012j:plain※外国人の方が行列に参加している様子

 私自身、伝統や文化の門が人々に開かれていることを望ましく思っており、日本は奈良で愛されてきた祭であるおん祭に様々な人が参加していることは素敵な発見であった。

 

 これを書くにあたり調べると、現在の奈良県は、留学生や在住外国人への支援等を強化するとともに外国人との交流等を通じて地域の国際化をすすめるため、おん祭への外国人・留学生の参加を進めていることが分かった。 ※外国人留学生がおん祭に参加します!/奈良県公式ホームページ

 奈良国立博物館『特別陳列 おん祭と春日信仰の美術 ―特集 奈良奉行所のかかわり―』(2016)の6ページには「伊賀などに移った国人を呼び戻し、流鏑馬を務めさせたという説が、近世の諸書に述べられる」とあり、15ページには「人馬・掛物・人足・用木などの調達に請負商人が介在しており、近世社会の一面を写し出している。」とある。室町時代には、おん祭の人馬や人足や品物の調達は請負商人が奈良近郊で行っており、おん祭は昔から「ここの人たちだけ」ではなく様々な人々が参加していた祭であったようだ。

 日本では20年ほど前から開始された祭典、ミス・ユニバースミス・ワールドの日本代表に選出された女性が「ハーフ」であることで批判を受けたことは記憶に新しい。 ※ミス・ワールド日本代表の吉川プリアンカさん、ハーフへの偏見に苦しんだ過去 海外でも注目

 世界一国民の幸福度が高いとされるスウェーデンでも、12月に各地で行われる伝統行事ルシア祭にこれまでのように容姿で選ばれた女児だけでなく参加を望む子供すべてが参加できるようにと活動が始まったものの、百貨店チェーンÅhlénsがFacebookに掲載した褐色肌の男児のルシア装束姿の写真に批判が集まり、身の危険を憂慮した少年の両親の要請で写真の掲載は取りやめになったと報道された。

www.dagensmedia.se

 こういった出来事があるなか、大和の人々が一つになり豊穣と皆の幸福な生活を祈る祭であるおん祭が、文字通り「人々が参加して」とり行われていたのを実際に見ることができたのは良い経験だった。

 

 

春日若宮おん祭お渡り式 見学日: 2016年12月17日